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記念講演では、ヤマハ発動機ジュビロの監督を務められている清宮 克幸 様にご登壇いただき、ニュースでしか切り取られていなかったことの裏側なども熱く、楽しく1時間半に渡りお話しいただきました。
ラグビーをはじめ団体競技のスポーツはそれぞれの役割が決まっていることが多く、勝利に向けて役割を遂行していくことから、組織ビジネスにおいて考え方を重視されています。数々の実績を上げて来られた清宮監督の最強の組織づくりを参考にしてください。 |
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清宮 克幸 様 プロフィール |
1967年7月17日生まれ49歳。
大阪市福島区出身の元ラグビー選手。現役時代のポジションはナンバーエイト、フランカー。
早稲田大学ラグビー部の元監督。現トップリーグヤマハ発動機ジュビロの監督。
長男は高校野球で有名な、清宮 幸太郎。 |
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◆略歴 |
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【現役時代】 |
大阪府立茨田高等学校を経て、早稲田大学に入学し、2年時に日本選手権優勝、4年時は主将として全国大学選手権優勝を果たす。卒業後はサントリーに入社する。 |
1990年 U23日本代表としてアメリカ代表に勝利。
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1992年 日本選抜でオックスフォード大学に勝利。 |
1995年 全国社会人大会優勝 |
1997年1998年 全国社会人大会準優勝 |
2001年 現役を引退 |
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【監督時代】 |
2001年 |
早稲田大学ラグビー部監督に就任 関東大学対抗戦全勝優勝 |
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2003年 |
13年ぶりに全国大学選手権優勝 |
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「ワセダクラブ」の建設や専務理事を務める |
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「奥・井ノ上イラク子供基金」発起人となる |
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2006年 |
連覇達成。社会人強豪のトヨタと対戦、トーナメント制移行後初めて社会人上位チームを破った。 |
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早稲田監督を勇退し、サントリーサンゴリアスの監督に就任した。 |
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トップリーグ2位、マイクロソフトカップ準優勝、2シーズン目にマイクロソフトカップで優勝を果たした。 |
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2010年2月 |
サントリー監督を辞任。 |
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2011年2月 |
ヤマハ発動機ジュビロの監督に就任。 |
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2015年2月 |
第52回ラグビーフットボール選手権大会決勝において、サントリーを破り、初優勝を果たした。 |
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◆ヤマハのルーズヴェルトゲーム※1 |
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2009年11月 リーマンショックのあおりを受け、ヤマハは2000億円の赤字決算を発表する。
経営再建策
1.2000人規模のリストラ
2.ラグビー部の撤退
再建のキーマン、戸上社長が就任する。ラグビー大好きな社長であるが、経営再建に向けて苦渋の決断でラグビー部の廃部を決める。
サントリーの監督時にもヤマハの流出メンバーリストが届いた。プロ以外のメンバーは移籍先がほぼ決まっていく。
4月に戸上社長が志半ばで白血病で倒れ、後任に柳社長が就任。柳社長はスポーツを生業としている会社がスポーツをやめてはいけないという信念で急遽ラグビー部に翌年の復活を唱える。
当時、ヤマハのリーダーであり、早稲田大学監督時代の教え子だった大多尾選手が、「清宮さんを連れて来られたらプロのみんなと会社に残る」という発言を受けて、ヤマハから打診があった。話を聞いて、「面白い、やりましょう!」と即答。1年空けた2011年にヤマハ発動機ジュビロの監督に就任し、2015年にはラグビーフットボール選手権大会決勝において、サントリーを破り優勝を果たした。 |
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※1 ルーズヴェルトゲームとは |
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作家 池井戸潤さんの小説で、企業スポーツをテーマにしたドラマ化された。野球の大好きな中小企業社長が経営再建に向け、苦渋の決断で野球部廃部を決める。大手企業のライバルチームに勝つ要素を根こそぎ引き抜かれる。変わった監督が就任し、空いた穴を従業員の中から埋めていき、地区大会で優勝を果たす。 |
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◆ヤマハラグビー改革プラン |
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1.熱を冷まさないマネージメントをする |
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ラグビー部存続の危機を乗り越えて、追い込まれていた選手たちは試合で必死の戦いをしていた。トップリーグという社会人ラグビーの中で負けた悔しさで泣いているチームを初めて見た。この熱を冷まさないマネージメントをしなければと考えた。
人数不足となって補強したのは、週末ラグビーをしていた人、他社のラグビーOB、ラグビー部がなくなってもと入ってきた新卒のラグビー経験者を加入させ、チームを再構成させた。 |
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2.ヤマハしかやらないラグビーを作りこむ |
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こういう時はまっすぐ走るべきなど、ラグビーに多かったセオリーを変え、オリジナリティを作った。世界のスクラムを研究させて、ヤマハのスクラムを編み出した。現在日本代表チームのスクラムスタイルはヤマハのスクラムを取り入れている。
初めて練習にレスリングを導入した。人がやらないことをやる。 |
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独自性を持つ → 結果を出す → 団結力が芽生える 人が変わる |
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◆独自性を言葉化していく |
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しなければならないことが明確になる。ドラマ「下町ロケット」にもあったスローガン『ロケット品質、ツクダプライド」のような伝わる言葉は代表的。独自性をもって結果を出したものが得られるものをどう作るかが組織のキーになると考えている。 |
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早稲田大学時代 「アルティメット・クラッシュ」“究極の破壊”を意味する。 |
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相手選手の反則を責めても仕方がない、反則をさせないプレーをする |
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サントリー時代 「ALIVE」 あきらめず次に何か行動する |
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一流の練習をしていても、試合の時の「ALIVE」がないと勝てない。 |
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ヤマハ 「ヤマハスタイル」 ヤマハしかやらないことをやって結果を出す |
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◆先輩が残してくれた言葉 |
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外交官を務めていた早稲田大学の先輩である奥 克彦さんは2003年イラクでテロリストに襲撃され殉職する。「ノブレスオブリージュ」その立場にある人間が果たすべき責任という意味の言葉は様々な言葉をいただいた中で深く胸に刻まれている。テロリストに狙われているにも関わらず、外交官として生きて、今この仕事を捨ててどうして帰れようか。イラクの子供たちや日本のためにノーサイドになるまで体を張り続けた。亡くなったあと、仲間と話している中で奥さんにもらったこの言葉で前を向き、残った人間がこれから何をするかではないかと考えて前進できた。「ノブレスオブリージュ」を軸に行動を考えるようになり、前進できるようになった。 |
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